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金ナノロッドの電子顕微鏡像と分光特性
アルミナの ような固い構造物を鋳型にして金イオンを還元すれば棒状の金ナノ粒子は比較的容易に調製できます。Prestonらの論文はその最初の例の一つで しょう。Fossらの 論文、あるいはvan der Zandeらの論文は より明確に棒状粒子の調製とその分光特性の解析を指向しています。形状均一性があまり良くないことと、量がたくさん取れないことがこの方法の問題点です。
一方、固い構造物ではなく、界面活性剤集合体(とて も「柔らか」でしかもダイナミックに 分子が入れ替わる構造体)を使っても金ナノロッドを合成できることが報告されています。1995年のEsumiら(東京理科大学江角邦夫先生)の論文が最初の報告だと思います。その2年後、1997年に台湾のWangらが 極めて均一性の高い棒状金ナノ粒子をカチオン性界面活性剤(Hexadecyltrimethyammonium Bromide: CTAB)中で調製できることを報告しました。彼らの方法は少し変わった電解法ですが、驚くほど均一な棒状金ナノ粒子の調製に成功しています。
その後、米国のMurphyら、El-Sayedら、 さらにYangら がより再現性と形状安定性に優れた金ナノロッドの調製法を報告しています。私たちは2003年に 化学還元と光反応を組み合わせた金ナノロッド調製法を報告 しました。この方法で作る金ナノロッドは極めて均一で10 x 50 nm程度の大きさをしています。現在は大日本塗料さんに作っていただいています。さすが「日本のもの造り」、素晴らしい品質のものを作ってらっしゃいます。

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